
No15.「今年心に残ること」 |
2004.12.20 |
雨上がりの北京で大きな虹を見た。虹は凶兆というが、世界は益々混沌としてきた。
TBSメディア総研のホームページを開設した。
春、民放連の「地上デジタル放送特別委員会」の北川委員長が交代した。北川さんとは「デジ特」設立以来、委員長と部会長という組み合わせで仕事をしてきた。「全国地上デジタル放送推進協議会」でも、北川さんはその前身の「地上デジタル放送に関する共同検討委員会」の委員長を経て引き続き会長を勤められ、ここでも私は部会長としてお付き合いした。北川さんは、秋には全国協の会長職も辞されたが、私の部会長は民放連でも全国協でも今も続いている。「地上波のデジタル化は不可避である」と民放が言い切れたのは、北川さんがいたからだった。北川さんのおかげで、この5〜6年結構大胆にやってこられたのだと思う。深謝。
夏、「磁力と重力の発見」(山本義隆)を読んだ。門外漢の私にも、科学・哲学・信仰のクロスオーバーが面白かった。著者は東大全共闘議長だったあの山本義隆氏で、彼が東大を去ったとき「日本の物理学界の損失。ノーベル賞学者を一人失った。」といわれたものだった。ご本人が今何を思っているかは知る由もないが、ノーベル賞よりこの一冊を読むことができたことは、僕にとっては意味がある。
秋、慶応大学藤沢キャンパスで講義をすることになった。これまでアレコレ考えてきたことを組合わせているうちに、情報政策とメディア論の関係についてどうアプローチするかということについて、一つの切り口を思いついた。少し深みにはまる予感がしている。
「僕の叔父さん 網野善彦」(中沢新一)を読んだ。素敵な叔父と甥の関係だが、それ以上に、二人の「人間と歴史へのアプローチ」が刺戟的だった。
冬、雪の便りがなかなか来ない。異常気象のせいだろうが、ホームゲレンデの戸隠はどうなっているのだろう。戸隠村も1月には長野市に統合されるという。
それにしても、自然も世界も病んでいる。
「マッチ擦る つかの間の海に霧深し 身捨つるほどの 祖国はありや」(寺山修司)
時代は明らかに新たな局面に入った。
そして、この一年、多くの人が逝ってしまった。
みなさま、どうぞ良いお年をお迎えください。
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