TBSメディア総合研究所

No40．「メディア哲学の年」

2006.1.1

　昨年は、メディア界で色々なことがありました｡

　ネット企業がテレビ局経営に関心を示し、株を切り札に参入を試みました｡一方、ＮＨＫの不祥事は受信料不払い問題を超えて、公共放送のあり方そのものを対象にした議論を引き起こし、並行して民放業界の再編論にも及ぼうとしています｡こうした動向は引き続き今年も様々な波紋を起こすでしょう｡激動の年になるかもしれません｡

　今の時代にメディアについて考えるということは、資本の論理（産業論・経営論）、規制のあり方（制度論）、そしてデジタル技術の進展を背景にしたメディア論（自由と管理の関係性）など、多角的に捉えることが求めてられています｡
　年明けには、総務大臣の私的諮問機関の発足も予定されています｡もつれた糸をほぐすような、あるいは変数ばかりの方程式を解くような、高度な作業が必要でしょう｡柔軟な選択、現実的対処が欠かせませんが、それを可能にするためには原点を喪失しないことでしょう。そうでないと、迷路・隘路に入り込むことは必定です｡しかし、原点とはいえ、定まった点が見えているわけではありません｡原点はどこかということを考えつづけること、それを哲学というのなら、まさに今年は「メディア哲学の年」となると思います｡

　さて、何から始めましょうか？

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